『こぶたのピクルス』はバザーで譲っていただいた絵本。息子が3歳の頃に読み聞かせをしました。好奇心旺盛な主人公のピクルスは、子どもらしくて可愛らしい男の子。いつも何かに夢中になりすぎて、大事なことを忘れてしまうことも…。
ピクルスがどんなかわいい失敗をしてくれるのか(!?)いつも息子と一緒にワクワクしていました。その姿を見守る大人たちの目線は温かく、特に、お母さんがピクルスに注ぐ深い愛情にはいつも感動させられます。ぜひ読んでみませんか?
あらすじ
元気いっぱいの男の子・ピクルスのお話が4篇収録されています。
ピクルスのわすれ物:準備万端で学校へ向かうピクルス。でもその途中で、大事なことを忘れてしまい…。
ピクルスと卵:市場へ卵を買いに行くピクルス。お母さんの卵料理にワクワクしながら帰りますが!?
ピクルスの大ニュース:歯がグラグラしていることをみんなに知らせるピクルス。でもなかなか抜けません。
ピクルスの海水パンツ:あしたは海に遊びに行く日。お母さんが新しい水着をつくってくれるのですが!?
怒る前に子どもの気持ちを想像する
いつも元気いっぱいのピクルスを見守るのは、周りの大人たち。特にお母さんはピクルスの行動をいつもまるごと受け止めています。ピクルスが割ってしまった卵でクッキーを焼くなど、失敗を“楽しいこと”に変えてしまうことも。
私の息子が小さい頃、雨なのに傘もささずに濡れていて、「風ひくよ!」と大きな声で注意したことがありました。別の日、また同じことをしていたのですが、その顔を見るとすごく楽しそう。「ちょっと暑かったんだよ〜」なんて言ったりして。だから、「帰ったらすぐお風呂に入って温まればいっか」と放っておくことにしました。もちろん、そんな流暢なことを言ってはいられないときもありますが、ついつい大人の都合で叱ってしまった後は、この本を読んで反省(笑)。子どもの素直な気持ちを受け入れる準備をします。
こんなふうに、親が望まないことや、子どもが意図せず失敗したようなことで、怒ってしまうことがあると思います。でも、子どもはきっとそこで何かを学んでいるし、新しい挑戦を親が受け入れると笑顔になってくれる。この本では、ピクルスもお母さんも楽しそうなんです。
怒る前に、目の前にいる子どもの気持ちになってみると、なんとなく楽しくなってきませんか? その積み重ねで、子どもの笑顔が増え、親も子育てが楽しくなるような気がしています。
真似したくなるピクルスの言葉
卵を割らないように「ぬきあし、さしあし、卵あし」と言ったり。海に行くのが待ちきれず、部屋のなかで「手足を、まげてーのばす!」と泳ぐ練習をしたり。ピクルスの言葉のおもしろさも、本書を読み続ける理由です。わが子はベッドの上で「手足を、まげてーのばす!」とピクルスの真似をしていました。
作者のユニークな視点を楽しむ
作者の小風さちさんは、福音館書店の「わにわにシリーズ」でも知られる絵本作家さん。児童文学者の松居直さんを父親にもつ方でもあります。
うちの子は、ただの可愛らしいお話だと退屈してしまうのですが、小風さんがつくるお話は展開がユニークなので、いつも前のめり。小風さん自身が子どもの心を持ち合わせているのかも。文章の歯切れもよく、どんなお子さんも楽しめると思います。
絵は、夏目ちささん。シリーズが月刊誌で連載されていた頃から挿絵を担当していたとか。ピクルスの素直な可愛らしさは、夏目さんの絵によってより一層引き立ちます。嬉しそうな笑顔や、悲しくて涙を流す顔など、どれも可愛らしくてたまりません。この本の魅力は夏目さんの絵なくしては語れないと思うほどです。
ひとり読みデビューにもおすすめ
1ページに一枚は挿絵があり、字が大きくて読みやすいです。わが家では1日1話、毎晩15分ほど読み聞かせをしていました。ほどよい量の感じにはルビが振られているので、幼児への読み聞かせはもちろん、子どものひとり読みデビューにもおすすめ。
市場へのおつかいや、大人の歯の生え変わりなど、子どもたちがいずれ経験する出来事が描かれていて、長く読み続けられる一冊だと思います。
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